空太のそら言

隠れオタクのぐうたら

昔の自分に失礼だ

やっぱりアノヒトにプレゼントしようかな…。



そういえば、アノヒトに手紙出してからもうすぐ一年になるんだなぁ。
きっかけは、新店オープンだったんだ。



入社してからずっと、アノヒトの事は知っていた。
うちの事業部の中で、初めて見たのが、話を聞いたのが、ヒトだった。
ずっと、憧れてたんだ。
アノヒトはいつでも渋くて、格好良くて、仕事ができる、遠いところの人だった。
空かミキティか、どっちをバイヤーにするか検討してたときがあったらしく、アノヒトが店に来て質問受けたっけ。
緊張しすぎて内容覚えてないけど、この会社で何をしていきたいか、って聞かれた気がする。
あの時は幼稚で稚拙な答えしか持ってなかったなぁ。
それでも、店にいたいって、伝えた。
結局バイヤーには、ミキティが選ばれた。
あの時もし、空が選ばれていたら、人生随分変わってただろうな。
ミキティが選ばれた決め手が家から本部が近い事だったのは、最近聞いた話)

それからも、ヒトが臨店したり電話取り次いだりして、ちょくちょく接触はあったんだ。
新店応援の時にも少し話したり姿見たり。
嬉しかったなぁ。その日一日幸せになれたんだ。


寮に引っ越してきて、アノヒトの車のエンジン音を覚えた。
ベランダに出て、姿が見えないかなぁって覗いてた事もあった。





去年9月の新店。
空は過酷な応援で疲れ果ててた。
お昼の時間もらえたけど、食堂がいっぱいだったから外で食べようと、商品置き場の空いてるパレットに座って息をついてた。
そこを、ふと、本当に偶然に、アノヒトが横切った。
通り過ぎる前に、空に気付いて隣に座ってきた。
で、軽い雑談した後いきなり、「空は彼氏おるんか?」って聞いてきた。
えっ!?何でいきなり!?と思いながらも、包み隠さず近況を伝える。
今はいないこと、前付き合ってた人とは価値観の不一致で分かれた事。
そこで、勇気を出して「今度のみに行きましょうよ」なんて言ったんだ。
向こうも乗り気で、いいねぇ、なんて言ってた。
それを社交辞令と思わず、チャンスだと思ったのは空の良いところか悪い猪突猛進か。



何とか実現しようと思った。
その為にはアポを取らなきゃと思った。
ヒトの携帯番号は知ってた。でもそれは仕事用だから、使うのは卑怯だと思った。
考えあぐねた結果、手紙を書いてヒトの部屋に入れたんだ。
今考えても異常な行動力だよ…手紙なんて、出すか?普通。
内容は、本当に一緒に飲みに行きたいことに空の携帯番号を添えたものだった。
でも、手紙出す前に一週間ぐらいどうしようどうしようと迷ってはいたんだよ。

しかも、いざ手紙入れても電話かかって来やしないんだもん。
もうこのまま消えてしまいたい、と思う期間も、何てことしちまったんだって反省する期間も過ぎ、もうシラネ無かったことにしよう、と半分忘れてた頃に電話きた。
そう、アノヒトが電話してくれたんだ。
それで、具体的に日程決めて、場所話して…。





何かあの時のどきどき思い出してきた。
ほんと、必死だったなぁ。
でも楽しかったなぁ。
今はもう、そんなエネルギーなくなっちゃってる。


本当にこのままでいいのかな。昔の自分に失礼じゃないかな。
そう思ったら、プレゼントあげたくなってきたんです。


参ったなぁ。