空太のそら言

隠れオタクのぐうたら

課長の詳細

なんか、会議中に急にいびきをかきだしたらしい。最初ふざけてるのかと思ったって、言ってた。でも様子が変で、意識無くて、慌てて会議室から出てきた人が、
「課長が倒れた!」
って怖い顔して言う。
「こういう時どうしたらいい?」
「えっ、そ、総務?」
「いや先に救急車、」
私、慌てて携帯から119番。あれ?110番だったっけ?とか頭混乱してる。すぐに電話つながって、
「火事ですか、救急車ですか?」って聞かれた。間をおかず「救急車です」って言って、住所と私の名前伝える。倒れてる人の年齢とか聞かれたけどあまり覚えてない。
呼吸はありますか、って119番の人に聞かれて、課長が倒れてる部屋に行く。そこではじめて状況を知る。ほんとに倒れてる。物理的に。床に寝かせられて、みんなに周り囲まれてる。
「課長の呼吸ありますか」
「呼吸、」
「息してる」
「もしもし、呼吸あります」
「意識はありますか?」
再び聞かれる私。みんな課長の頬をたたいたり名前呼んだりしてる。課長の顔、真っ青。死んでるみたいな色。これ、普通じゃない。やばい。
うぅ、と小さく課長のうめきが聞こえた。
「空太、課長意識今戻った!」
「意識、意識今もどりました」
「わかりました、すぐ向かいますから誘導お願いします」

10分ぐらいで救急車到着。ストレッチャーで運ばれる課長。まだ顔が青いけど、自分で受け答えできてる。足が異常に細い。
そのまま病院に運ばれていった。


色んな人が色んな事を言う。
「ストレスがたまってたんだな」
「くも膜下かもしれん」
「貧血?」
詳しい人が居て、恐らくストレスによる血圧低下と貧血だろうって。
ストレス。
さいきん、課長すごく仕事と責任が増えてた。私も沢山迷惑かけた。
私が、もっとちゃんとしてれば、こんな事にならなかったんじゃないか。もっと課長のこと助けることが出来たんじゃないか。課長に任せきりで、私は何をしていたんだ。
そんなことぐるぐる考えてたら、
「空太さん、大丈夫?顔白いよ」
って心配される。そこで堤防決壊、ボロッと泣き出してしまった。





課長は、入院することもなく、ご家族と一緒に帰宅したそうだ。
私は課長に謝りたかった。赦されたいと、思っていたのだろう。おまえは悪くないと、言われたかったのだろう。ずるいものだ。結局自分のことばかりか。


誓おう。
私は、私に出来ることをやる。
もう一人にはさせない。