空太のそら言

隠れオタクのぐうたら

低音障害型感音難聴(多分) MRI検査受けてきた

自分は健康で悩んだことがあまりなく、せいぜい貧血と生理痛ぐらいでしか薬のお世話にもならないくらい、まあ健康な体をもらっている。
今年で30歳。そんな節目に降りかかってきたのが、今回の難聴である。
まさか自分が耳のトラブルに出会い、あまつさえMRI検査まで受けることになろうとは、露ほども考えてはいなかった。

MRI検査。

なんともハイテク(死語)な響きである。もちろん、初体験。先生から「MRIしましょうか」と言われてから、ググりまくって調べまくって、相当事前に勉強しました。ビビりなんだよ…。
わかったのは、
・放射線は出ない。磁気で調べるらしい。
・金属持ち込み厳禁。
・閉所恐怖症の人には辛い狭さ。
・すっごい大きな音がするらしい。
・慣れれば寝れる。
・造影剤は、よほど副作用は出ない。
・頭固定される。
こんな感じ。写真も見ながら、「大きな音ってどんなんだろう」とイメージを膨らませながら、ウィークデイをすごした(仕事しろ)。

予約は14時40分から。時間15分前には受付を済ませてくださいとの指示があった。家から病院までは車で30分ほど。余裕を持って、予約時間の1時間前に家を出ることにした。
MRI検査を受けると決まった日、誓約書のようなものにサインをしていた。より鮮明に血液の流れを見るために造影剤を使うこと、その造影剤でまれに副作用がでることとその確率。誓約書には、詳細が書かれていた。
どうやら、造影剤の副作用では、最悪死に至る場合もあるらしい。ただし確率は相当低い。何十万分の一ぐらい。でも最悪死ぬのか…恐ろしい。内心ガクブルしながら誓約書にサインをした。
そんなことを思い出しながら、今日の検査に向かう前に部屋の掃除をした。万が一死んでしまっても恥ずかしくないように、ゴミを片付け洗濯物をたたんだ。いつもは蝉の抜け殻よろしく人の気配を保ったままの布団もしっかり整えた。まるでホテルのようだ。
それなりに自己満足し、着替えと忘れ物点検をして(よく忘れ物をする)、いよいよ部屋を出る。
もうここには戻ってこないかもしれない…まるで戦地に赴く兵隊のような覚悟をもって、ドアの鍵を回した。





土曜日でも昼間は道がすいていて、14時前には病院に到着してしまった。どんだけ気合いが入ってるんだ。
申し訳ない気持ちで受付を済ませると、「地下の放射線科の受付へどうぞ」と案内される。MRIは磁石だけど、受付は放射線科なんだ。地下とか怖いな…とビクビクしながら移動。
放射線科受付も済ませ、持ってきた本(不毛地帯)を広げる。目の前には、「立ち入り禁止」の大きな扉。放射線ですよ、って扇風機の羽根みたいなマークが貼ってあって、意味もなく緊張する。あそこの中は放射線だらけなのか…病院コワス。
しばらくして読書に没頭しかけたところで名前を呼ばれる。
看護士さん「別棟なので移動しますね」
ほう、磁石は別のところにあるのか。ペンギンみたいに歩く若い看護士さんにつれられて、道路を挟んだ向かいの建物へ。総合病院として規模を拡大する過程で建て増したらしく、本館(?)より新しい雰囲気である。人の気配はぐっと減った。
新館の待合室で再び待機。
たまに通り過ぎる人の気配から察するに、体が不自由な方のための病棟らしい。まあ、本を読んでたのでよくわからないが…。
ここでも名前を呼ばれ、とうとうMRI検査の部屋へと向かう。


廊下の突き当たりを曲がったところ、正面にMRIが収まっていると思われる部屋の扉、右手に小さな更衣室、左手にはオープンな科学研究室みたいな部屋がある。そこに白衣の先生がいて、脳が映ったPCがあったり、謎の機械があったり、さながら理学部である。
先生「金属ははずしてもらって、荷物はロッカーに入れてください」
お?着替えなくてもいいのか?てっきり青い作務衣みたいなものに着替えると思っていたので、軽く動揺する。
自分「ズボンもこれでいいですか?」
デニムを指さすと、
先生「うん、ベルトは取ってね。ズボン飛んでっちゃわないから大丈夫」
緊張で冗談に対応する余裕もない。
更衣室に入り、ベルトと下着をはずす。ブラのことに触れられなかったけど、普通はずすもんね…?でも持ち込んじゃいけないものりストに書いてないけど…。おそるおそる更衣室を出て準備がすんだと声をかける。
先生「ロッカーの鍵お預かりしますね」
鍵も金属だもんね。
先生「中ね、大きな音がするから耳栓してね」
ウレタンみたいな耳栓を渡され、両耳に装着する。ほんまに緊張してきた。
先生「時間20分ぐらいだから」
自分「はい」
突然、MRI室のドアが開き、中からおじさんが出てくる。びっくりした。おじさんもびっくりしていた。どうやら自分の一つ前の患者さんらしい。MRIも人気である。
おじさんが出てきてすぐ、ついにMRI室へと入る。
中は全体にクリーム色でほの明るい。部屋自体は結構広く、周りから余裕を持って、中央に例の機械が鎮座している。左手には、さっきの理学部室から見えるようにガラス窓がついている。
先生「じゃあここに寝てください」
きょろきょろする間もなく誘導される。ってか、耳栓のせいで声がよく聞こえません。
人一人がようやく寝れる幅のベッド、頭の位置には動いてしまわないように、Ω←こんな感じの枠がついていてすっぽり頭を納めるようになっている。
先生「足あげてー」
寝ころんだのを見計らって、足枕を敷いてくれた。これは腰が楽だ。
手をお腹の上で組んでいると、体の横に這わせるよう指示される。
先生「MRIは初めてかな?」
自分「はい」
てきぱきと準備をしながら注意事項を教えてもらう。
先生「動くと鮮明にとれないから、動かないでね」
両こめかみにウレタンみたいなものを添えられ、Ω←こういうのの上から白いガードを被せられる。視界の邪魔ではあるが、圧迫感はない。
先生「検査中おっきい音がするから、びっくりしないでね」
胴のあたりで緩くベルトを締められる感覚。本当に緩い。余裕で身じろぎできるレベル。
先生「検査中は目をつぶってた方がいいよ、結構狭いし目の前トンネルだからね」
もうこの辺で本気で怖い。早速目を閉じる。
先生「どうしても怖くなったらこれをぎゅっと握ってね」
右手に柔らかいボールみたいなのを持たされる。蛙のおもちゃに付いてるようなやつだと思う。
ああーいよいよだー。
先生「じゃあ始めるね」
自分「お願いします」




周りから、人の気配が消えた。視界が暗くなる。きっと、頭上のトンネルみたいなのが自分に被さってきたんだろう。目を閉じてるので、光でしか変化が分からない。


時計の秒針みたいな音が三回鳴る。
シン…。




ガッ!
ガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガ!


きたー!はじまった!
いかにも機械が動いてますって音が部屋中に響きわたる。覚悟してたからか、思ったより音は小さい。
1秒に2音ぐらいのペースで音が鳴り続ける。
と思ったら静かになった。

また、秒針の音が3回。
シン…。


ゴゴガゴゴガゴゴガゴゴガゴゴガ!
シン…。
チッチッチ。
ギャッギャッギャッギャッギャッギャッギャッ!
シン…。


ずっと音が鳴るものなんだと思っていたが、一定の間隔をあけて鳴るようだ。
大きな音→無音→チッチッチが1かたまり。それを何種類も行う。
大きな音は色んなバリエーションがあって、自分には全部違う音に聞こえた。
多分、昔のFAXとかスキャナを通ったら、こんな音がするんだろうな、と思いながら聞いていた。
一回だけ自分のベッドが動いたが、それ以外は刺激になるようなこともない。そう時間もかからずこの環境に慣れた自分は、次第に違うことを考え始める。

・そういえば耳鳴りがしない。やっぱり良くなってきてる
・動くなと言われると、動きたくなる…うずうず
・ってかこのボタン(右手の丸いの)握ってみたい
・目も開けてみたいけど、さすがに怖いな
・今日はカレーを食べよう
・幾らぐらいかかるんだろ
・あれ、そういえば造影剤は?
・造影剤なくても良かったのかな
・じゃああの誓約書はいったいなんだったんだ?
・もしかして、忘れられてる?
・検査終わったらさりげなく聞いてみよう
・ライクア、ファーイヤフッラワー僕がー♪消えちゃわないよにー♪(心で鼻歌)
・なんか…ねむくなってきた…
・造影剤…




先生「はーい、一回出ますよー」
気付いたらすぐ近くから先生の声が。いつの間にか機械の音がやんでいた。あれ?もう終わり?
恐る恐る目を開くと、クリーム色の天井がある。
先生「造影剤いれるからね」
よかった、忘れられてなかった。
しかし、胴体のベルトも頭のヘッドギアみたいなのもそのままで、右腕をまくられ注射される。なんだか慌ただしいのう。
動くな、という指示を忠実に守る自分は、まさにまな板の上の鯉。限られた視界しかないし、また目を閉じておく。
先生「気持ち悪くない?」
自分「だいじょぶです」
注射が終わったら、即、再び機械が動き出す。
造影剤を入れたときと、入れないときの脳味噌の違いを見るのかな?なんて考えてるうちに、
先生「お疲れさまでした。ゆっくり起きてね」
あっという間に終了。気分が悪くなることも、何らかの事故もなく、超無事に終わる。
自分が部屋から出ると、待合室にはおばさんが待機していた。お化粧落としてくださいね、と注意をうけていた。自分化粧してないからな、普通は化粧まで落とさないといけないのか。


全体で1時間ぐらいでおわり。
10,410円也。





総じて、患者側は寝てるだけなので、思ったより怖くなかった。閉所恐怖症じゃなければ、そう覚悟しなくても大丈夫な検査でした。
いい体験をした。
あとは火曜日の結果待ちだー。