空太のそら言

隠れオタクのぐうたら

永遠の0

 

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

 

 うーん、明日は目が腫れてしょうがないだろう。

いつ買ったんだったか、多分7月か8月ぐらいだったと思うのだが、買ってからしばらく放置していて、最近ふと読み出してからは一気に読み進めることが出来た。

ストーリーの進行としては、先の読める、あまり裏表のない展開だったので安心して読み進めることが出来た。作者は放送作家出身と言うだけあって、なるほど2時間ドラマのような起承転結のはっきりとした物語だと思った。

先が読めているのにボロボロと泣いてしまったのは、恐らく綿密な取材を繰り返して出てきた、戦争体者の胸の詰まるような言葉たちによるだろう。なにしろ重い。重いのだが、零戦の性能や戦歴、戦闘機乗りたちの技術などの話が織り混ざり、適度な緊張感を持続させながら読むことが出来る。口語調になったときの百田氏の文体は読みやすくてうまいなあ。

特に井崎氏の語る第四章ラバウルと第五章ガタルカナルは、その戦況の熾烈さもあって本書の中でもコアとなる章となっている。主人公の祖父である宮部がなぜ生きたいと強く思っていたのか、それがよく語られている。

 

 

残酷だよなあ。実に残酷だ。宮部は英雄だったが、死んだ。

でもいつか人は死ぬ。どんな死に方をするかというのは、どんな生き方をしたかということだ。その生き方を自分の子孫が調べてくれるなんて、幸せな死に方だろう。

多くの残酷な最期の上に成り立っている日本という国が、私は好きだよ。この幸せな国を存続させたいと思う。それが戦争体験を知らない世代ができる戦いだろう。

 

 

あと、大切な人を今度抱きしめよう。

 

 

うーん、後書きで児玉清さんが「清々しさで満たされた」と書いているが、そんなことはない。どっしりと重いものを担がされた気分だ。戦争を知らない世代へのあてつけか。