空太のそら言

隠れオタクのぐうたら

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 上


これも買ってしばらく放置していたものの一つ。時間があったし家で暇だったし、片手でゲームしながら読むにはちょうどハードカバーがよかったので本棚から手に取った一冊。
永遠の0から2冊目の百田尚樹である。
上を読んだところの感想としては、いまいち文章に迫力がないなあというところ。内容は出光の創業者の逸話や伝聞を日本の歴史と織り交ぜながらまとめ上げたもの。創業者を知る社員や家族の話を束ねているためからか、いまいち話がぶつ切りで、主人公の国岡鐵造の人となりが見えてこない。ある意味、凄すぎるのだ。できすぎている。宗教的と言ってもいいかもしれない。まふで伝説の人物のようだ。いやそうなのかもしれないけど、何て言うか、崇められすぎているような。
かつてダイエー創業者中内功(右は力ではなく刀)の人生を書いた「カリスマ」という本を読んだ事があるが、その生々しさはまるで中内の声まで聞こえてきそうなものだった。人物としては中内も戦前に生まれ敗戦を経験し、貪欲なまでに全てを手中に収めようとした。その姿には光と影が強烈なスポットライトで当たっていて、彼のドロドロとした人間臭さを行間から強く感じたものだ。
しかし!百田尚樹氏の今作からはそれを感じることができない。今のところ、綺麗すぎるのだ。
上下巻なのでまだ評価はできないが、下巻では人間臭さが存分に出るといい。