空太のそら言

隠れオタクのぐうたら

パラドックス13


久しぶりに本を読み切った。
どうしても手持ち無沙汰になる長い拘束時間が発生することがわかっていたので、本屋に駆け込んであれこれ物色。
しかし読みたくなるような本が見当たらない。勘が鈍ってるなあと思いつつ、山積みしてあった東野圭吾を手に取った。


読み終わって。
東野圭吾はこれで3冊目になるが、共通しているのは題材が面白いのにプロットがイマイチでネタを生かしきれていない点。今回も数字的パラドックスが起きてそれに巻き込まれた人間の欲望と葛藤の話だということで、期待して読んでいたのだが、結局超ひも理論については単語だけの登場で、何だか都合良く使われただけの印象。
原因もラストも、おおよそ想像していた通りの内容。
しかも変にいい話に纏めようとしたからか、ハッピーエンドともバッドエンドとも言えない中途半端な読後感。
思うに、物語の中盤ぐらいにはP13現象の真実を暴いてしまって、この世界に残る人と残らない人との生々しい戦いを描いてもよかったのではないかなと思う。
お兄ちゃんが考えてたアダムとイブ作戦も急だし…そもそもあのエピソード必要だったんか。
しかも何故か天変地異が起きる世界。なぜ?矛盾を解消する為に世界を破壊しているのか?いや破壊しても、破壊された世界は残るから。自分たち以外の世界が超速で時間逆行するとか、時間と空間が消滅するとかならまだしも。

まあ、絶望的状況での人の心と行動の動きを書きたかったのかもしれないが、それも中途半端。もっとライアーゲームよろしく騙し合いとかすればよかったのに。
もしくは、お兄ちゃんの精神的崩壊を描けばよかったのに。最後まで完璧とか、弟が主人公の意味あるんかい。
或いは、生存者の中でのルールが段々と構築されて行く中で生まれる権力者と隷属者とか、完全なる民主主義を実現したらどうなるかとか、人間描写にふぉーかすしてもはもうちょっとどうにかなったでしょう。


うーん…、さらさらと読めるんだけど、まあそれだけっていうか…。春雨みたいな印象です。東野圭吾
多分もう読まない。