空太のそら言

隠れオタクのぐうたら

下町ロケット

下町ロケット

下町ロケット

この判断は個人の感情か、会社のためのものか。
恐らく企業のトップたる人間が常に直面している心の葛藤に、知らず呼吸が出来なくなっていた。


前半部分では執拗なまでに金銭についての話が出てきて、ある一夜を過ぎてからは全く表に出てこなくなる。よく作られていると思う。
一般の人がこの本をどう読むのか知らないが、これは列記としたビジネス書だと思う。
企業は何のためにあるのか。仕事は何のためにやるのか。
お金とは何か、夢とは何か。
先の見えない将来に投資するのか、現状維持が理想なのか。
決断とは。

常に思うんだが、結局お金は道具でしかなくて、道具なんて使ってナンボなんだから、それを多く手に入れることを目的にしてはいけないんだ。



ストーリー展開としては非常に「もしドラ」に似ている。
いわゆる王道。
企業の目的とは何かに真摯に向き合い、自分たちが持っているものに磨きをかける。
願わくばもう少し主人公以外の登場人物たちの心の葛藤や揺らぎ、動きを描写してもらえたらよかった。
でも、人のこころが動いていく瞬間とは、何をどれだけ読んだり知ったりしても、いいものですね。「佃ブランド」のポスターのくだりには涙で読めなくなったほどだ。


やっぱり、一つ曲げずに信念を持ち続けることが自信やプライドになるんだなぁ。
おもしろかった。「直木賞」とか書いてあって逆ミーハーな自分は避けてしまっていたが、読んでよかった。